『リセット』/一枚物語。#1

「上がりのあとには下りがくる……」

無精髭を生やした得意気な経済オヤジから発せられるツンとした声が教室に反響する.

窓側から差し込む黄金色の日光は眩しいどころか睡魔を呼び起こす.

5時限目のかったるい雰囲気など,もはやどうでも良い.

全てから解放されたい.学校,人間関係,人生から解放されたいのだ.

リセットボタンがあるなら,残業中のサラリーマンがエンターキーを打つように思いっきりと押してやりたいくらいだ.

ふいに僕の口から漏れるため息に,隣に座る微妙な女子が反応する.

反応されるのすら鬱陶しい.放って置いて欲しい.

微妙な女子が何事もなかったかのように黒板に目を向けようと体を拗らせると共に,左肘が持ち主に似合わず可憐な蛍光ペンにぶつかりペンが床に落下する.ペンは,より重い「太い」と書かれた口が下に向きながら黄金色の光に照らされ,ただただまっすぐと,落ちてゆく.

何時間経っただろうか.

カタリという音がした.






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Pythonとジャスミンを創りました。好きな言葉は「知崇礼卑」です。