『運命』/一枚物語。#2

赤白,そして青.微睡の中で今日も生きる.

「さき〜おはよーー!」 

絵に描いたような明るい女の子,杏が主人の帰りに興奮する犬のように走ってくる.

「おはよ〜」 

自分なりに明るい声を作って放つ.

彼女の白いシャツにはアイロンを雑にかけたのか,皺が少し残っている.髪の毛もひょいとうねりをつけて一部突出している.

そんなところも彼女らしい,チャームポイントだ.

「ねぇねぇ、昨日さぁ」 

毎日会うのに話題が尽きない彼女にいつも感心する.

「ん、何?」 

「山城が本間に告ったらしいよ」 

「マジ?」 

「私もびっくりしちゃたよ〜」 

杏が後ろ向きでぴょんぴょんと跳ねながら楽しそうに話す.同性ながら,彼女は可愛いと思う.別に恋愛的にという意味ではなく、客観的に.

「で〜山城、」 

「ん?」 

青空を飛ぶ小鳥たちを眺めていた私が,彼女に視線を戻したとき,彼女はそこに居なかった.

残っていたのは仄かに赤い彼女だった.






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Pythonとジャスミンを創りました。好きな言葉は「知崇礼卑」です。