【コラム】「ストーリーテラーとうそつき」2021年12月24日 62回

◆多かれ少なかれ、みんなうそをつく。そのひとつひとつのうそにはきっと理由があって、何かしらの意味があるんだと思う。たとえそのうそで少し雰囲気が悪くなったとしても、その人には何かうそをつかざるをえない事情があったのかもしれない。じぶんだって、これはどうしようもない!と思ってうそをついたことがあるはずなのに、なぜか人からうそをつかれると少し気分が下がる。なんで正直に言わないの?まるで相手が自分を騙して陥れて入れようとしているかのようにも見えたりする。

◆そこでちょっと視点を変えてみよう。きっとみんな、なんらかの自分の好きな小説や映画、アニメ、漫画をもっていると思う。特別なものがなくても、なんとなく作品に触れて、これ良いなと感じたことはあるはずだ。それでここからが大事なんだけど、その作品の内容が事実じゃなかったら怒るか、と問いたい。多分ほぼ全員がいいえ、と答えると思う。中にはノンフィクションだけが好き、という人がいるかもしれないが、たとえば音楽の歌詞に対しても事実じゃないと嫌になるという人は……いたらそれはそれでいいと思う。でも、ここからはいいえと答えた方に対してお伝えします。

◆あなたの好きな作品も、中身はうそなんです。かっこよく言えばフィクション、ストレートに言えばうそです。でもその世界に惚れ込んでしまう。まったく不思議だ、残酷で辛いストーリーも受け入れてしまう。なのになぜ、生活の中ではうそにそんなに神経を尖らせるのか。もちろんうそをつく人を擁護しているわけではないし、正直で素直であるのが一番素敵だと思うが、うそに敏感になって疲れてしまっている人も結構いると思うのでその人の一助になればと。うそに敏感だとやっぱり息苦しい部分がある。だから、時には正直に生きることを諭すのも大事だけど、自分の管轄外のうそに対しては、素敵な物語、と思ってしまうのも中々愉快だ。たまに、でっちあげの自慢話をする人を見かけるが、「なんだ口ばっかり格好つけて!本当はぼくの方ができるのに!」なんて思ってしまったら、それはそれはもったいない。だって、わざわざ「こいつが言ってることはうそだ!」なんて言いに行くのは幼いし、逆に自分が悪者に見えたりする恐れもある。そうなってしまってはもったいないでしょう。そこで、あえて「なかなか上手い状況設定だ」と、評論家にもなったつもりで思えばいい。難しいことや大変なことは見方を変えればいくらでも好転させることができる。自分で流れを生むのだ。

■世の中には秀逸な作家が実に多い。

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Pythonとジャスミンを創りました。好きな言葉は「知崇礼卑」です。