【コラム】「iPhoneのi」2022年01月12日 81回

◆日本人の6割以上が使用しているとされるApple社のスマートフォン、iPhone。ところで、iPhoneの「i」とは何のことだろうか。それはAppleの創業者スティーブ・ジョブズが1988年に発表したパソコン、iMacとして初めて登場した。その時のプレゼンテーションでジョブズはその意味を解説している。まずその核となる意味はインターネット(internet)である。現在では当たり前となっているインターネットを当時の彼が世界中に普及させようとしていた想いは相当なものだったのだろう。さらに「i」にはインターネットに加えて、個人(inidividual)、教える(instruct)、知らせる(inform)、刺激する(inspire)の合計5つの意味があるという。

◆普通名詞である「Phone(電話)」にたった一文字のアルファベットを付け加えただけで、固有名詞であっても誰もが知るスマートフォンの象徴的存在になっている。商品名が世界中に知れ渡っているというのは滅多にない話だ。何も知らない人に「iPhone」と言ったら相手は「I phone…(私 電話…)」と思っていたことだろう。だが今はそう思う人はそうそういない。特に、スマートフォンを持っている人なら誰もが通る「iPhoneかAndroidかの選択」の際に悩まされた人も多いのではないだろうか。多くのスマートフォンは名前はあれども、それを総称してAndroidと呼ばれるのに対して、iPhoneは一つの企業が出している一種類のブランドのみを意味しており、それが十分に戦えている状況にあるという構図がすでにその力強さを示している。

◆もしもiPhoneがもっと長く複雑な名前であればここまで成長していなかったかもしれない。そう思えば、既存の名詞を利用してアルファベット一文字を添えるだけで自分の商品を想像させるようにしたジョブズはコピーライティングの名手だったと言えるのかもしれない。いかに短い文章で、多くの人を動かせるのか。短くしすぎてアルファベット一文字で「これがiです」と言われても使いづらく、これが「Super high technology Smart iPhone」と言われても同様に使いづらい。そこで、英語を知るものなら誰もが知っている「Phone」に先ほどの「i」を接続して生まれたのが伝説のスマートフォンであるということは、これからわれわれがコピーを考えるときだけに限らず様々な場面で参考になる事例だろう。

■イノベーションは実にシンプルで小さなところにある。

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Pythonとジャスミンを創りました。好きな言葉は「知崇礼卑」です。