【コラム】「公務員という職種はない。」2022年01月15日 84回

◆佐賀県は県職員の新採用コンセプトに「公務員という職種はない。」を掲げた。短くインパクトのある言葉は多くの人の目を引いたことだろう。佐賀県は民間経験者の採用を積極的に行なっており、ミスのない正確な事務的な作業に留まらず、職員が良いイノベーションを起こし、よりより街を自分たちの手で作り上げるようにためにも、強い情熱とプロ意識をもたせようとしている。民間経験者がもつ強い武器をそのまま生かしてほしいという意味で「公務員」というくくりにとらわれないようにつけたコピーである。その成果もあってのことか、30人の枠に対して20倍の人が応募したという。

◆「公務員は安定」といつの時代も言われてきたが、それは良くも悪くも捉えることができる。安定している方が生活する上では安心できるし、リスクが少ない。その反面で味気なく思えてしまうこともある。特に決まった仕事を正確にやるのをずっと続けるのは苦手に思う人もいるだろう。そんな中、佐賀県のように「公務員」という概念の壁を破って、逆に様々な経験をした人が集まる職場と考えてみればどうだろう。味気ないどころか、珍味だらけの好奇心がそそられる場へと変貌する。そうなれば職員のモチベーションも高まり、より高次元な議論が生まれ、役所という堅そうな空間が、今までにないクリエイティビティーを発揮することだろう。中身が変われば行動が変わるように佐賀県はより一層、(良い意味での)斬新な取り組みができるようになるだろう。軸を揺るがすことなく、環境に柔軟に対応できる者が最も強い生命力をもつ。役所が保つべき軸を曲げずに、イノベーションという爆発を起こせば、他にない強力な能力をもつことができる。それはきっと街の空気を変えるはずだ。

◆個が金属のように溶けて他と混ざり合うことは人間にはできないと思う。どれだけ重なり合っているように見えても、所詮それは組み合わさっているだけにすぎず、混ざり合って同一の物体となることはできない。これを先述の公務員の話にあてはめても同じだ。どれだけ頑張っても個の人間が同じ公務員に融合することはできない。だからこそ、個を認めた上でやるべき時に組体操のようにして組み合う、そういうチームが強いのだと思う。融合というものは個の存在を不自由にさせるが、組み合うというのはいつでも個として戦うことのできる、即戦力をもつことになる。

■公務員に限らず、それができるのはごくわずかだ。

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Pythonとジャスミンを創りました。好きな言葉は「知崇礼卑」です。