【コラム】「秋風に吹かれる感覚を忘れたくない」2021年09月22日 22回

秋の夜は静かで冷涼な風が流れる。

その瞬間が何とも言えぬほどに好きだ。一晩中、その風と会話をしたいなとよく思う。古典文章を読むと、やはり秋の時期に関するものがとても多く、やはりあの「何とも言えない感覚」はいつになっても人の心に大きい何かを与え続けているのだろうと思う。

その気持ちは単に、「風流」や「趣深さ」では表すにはどこか勿体無いと思うほどだ。

きっと、無意識的に言葉に表したくないと思っているのだろう。言葉に綺麗に表されれば、その言葉から想像で擬似的な体験を再現できてしまう。だから、あえてそれを言葉にしないことで、実際に秋の夜の風に吹かれることを体感してようやくその感覚を知ることができるという特別感が生まれる。

それは、ある種、私たちの伝統を守り抜くためでもあろう。レシピを公開した方が、その銘菓がより多くの人に楽しまれるようになるが、わざわざ店に足を運ぶ人は少なくなるのと同じで、本能的に「守りたいもの」が存在しているのだろうと思う。

今日の風は、いつもに増して心地良い。

良い一日を。

Σ

Pythonとジャスミンを創りました。好きな言葉は「知崇礼卑」です。